ひとみの内緒話

presented by ひとみ & イネ

Night Walkers 2 -0103 2018-06-09 (sat)

投稿:巽ヒロヲ様

※※ 無明/長夜 第一章 (3) ※※

「おいおい、お前さんの相手は吸血鬼じゃなかったのか?」
「それと、我々の邪魔をするような連中だ」

 言われて、修三は、肩をすくめた。
 そして、ひょい、と横を向く。

「おぉい、そろそろ出てきて説明してやれよ」
 そう言う修三には、しかし、一分の隙もない。

 と、物陰から、ユーリーと同じ灰色のコートを着た男が現れた。だが、その体型は、ユーリーの対極にあるように、でっぷりと太っている。

「先生――!」
 ユーリーが、声を上げ、そしてようやく殺気を収めた。

「ふうん、このお兄ちゃんは、男爵の弟子なわけか」
「はい」

 ユーリーに先生と呼ばれ、修三に男爵と呼ばれたその男が、短く答える。修三とほぼ同じ身長の、肥満した体。黒に近い褐色の髪と髭が渦を巻くように伸び、顔の造作をほとんど隠している。

「フォン・ヴァルヴァゾル男爵の弟子にしちゃあ、ずいぶんと余裕のない兄ちゃんじゃないかい?」
「そういう段取りでしたから」

 からかうような口調の修三にそれだけ言って、フォン・ヴァルヴァゾルは、ユーリーに歩み寄った。

「ノインテーターが、この空港を囲む結界を越えました。それで、作戦を中止しました」
「何ですって……?」
「今ごろ、吸血鬼たちは合流を果たしているでしょう。次の機会を待つべきと考えます」

 弟子であるはずのユーリーに丁寧な口調でそう言ってから、フォン・ヴァルヴァゾルは、再び修三に顔を向けた。

「あなたが止めなければ、私がこのユーリーを止めるはずでした。ありがとうございました」
「よく言うぜ。俺をダシにこの兄ちゃんの出来を確かめようと物陰で見ていたんじゃないのかい?」
「それは誤解です。私は、あの忌々しい吸血鬼が結界を越えたのを知って、必死の思いでここまで走ってきたのですよ」

 そう言うフォン・ヴァルヴァゾルの呼吸は平静そのままで、少しも乱れてはいない。修三は、今のフォン・ヴァルヴァゾルの言葉が冗談なのかどうかを判じかねているように、顔をしかめて見せた。

「ところで、葛城さんは、この後の予定はどうなっているのですか?」
「実家にちょっと顔を出してから、女房子供の待つ家に帰る予定だよ」

 かすかにはにかむような笑みを浮かべながら、修三が言う。

「言っておくが、依頼を受ける気はないぜ。きちんと帰らないと女房がおっかねえんだよ」
「それは残念ですね。一度、“破壊屋”葛城修三と一緒に仕事をしたかったのですが」

「『第八機密機関』が外部の人間を雇うなんて話、聞いたことがねえぞ」
「時と場合によります。何しろ、今回の相手は特別ですからね」
「ノインテーター……ドイツ最強の吸血鬼、だったか? 一昔前のレスラーだって、もう少しマシなリングネームを持ってるだろうに」

 修三の言葉に、ユーリーも、フォン・ヴァルヴァゾルも、表情を変えようとしない。

「それだけではないのです」
「何?」
「“カインの花嫁”という言葉を聞いたことはありませんか?」

 かすかに、フォン・ヴァルヴァゾルの声音が、硬く変質した。

「――ないな」
 少し間をおいてから、修三が答える。

「でしたら結構です」
 言って、フォン・ヴァルヴァゾルが、その肥満した体を翻す。

「おいおい、説明してくれるんじゃないのかよ」
「まさか」

 ちら、とフォン・ヴァルヴァゾルが修三に振り向いた。
 長い前髪に隠された小さな目が、一瞬、針のように鋭い光を放つ。

「もし御存知でしたら、きつく口止めをしなければいけないところでしたよ」
「……恐いねえ」

 そう呟く修三の声に、もはや答えることなく、フォン・ヴァルヴァゾルが去っていった。
 無言で、ユーリーがその後についていく。その灰色の後姿を、修三は、どこか面白そうにいつまでも見つめていた。

- つづく -


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