ひとみの内緒話

presented by ひとみ & イネ

Night Walkers 1 -0702 2018-01-06 (sat)

投稿:巽ヒロヲ様

※※ 夜行/百鬼 第七章 (2) ※※

 正確であるがゆえに軌道のあからさまなチボーの右手首を、両手で掴む。そのまま、チボーの力を利用するようにしてふわりと浮き――右腕をひねりながら、畳んだ左脚を一気に伸ばして頭を蹴る。

“天蠍”――。
 俺の足がチボーの頭を捕らえる寸前――
 ぶうん、と大きく体を振り回された。

 チボーの右手首を掴んだまま、上下感覚を失う。どっ! という衝撃とともに、俺は、自分が背中から地面に叩き付けられたことを知った。
 違う。叩きつけられたんじゃない。投げ飛ばされたのだ。

「な……?」
 俺は、両手でしっかりと掴んでいたチボーの右手に目をやった。

「――義手?」
「……私の言う少女にやられたのですよ。“カインの花嫁”にね」

 いつか、綺羅が呼んだのと同じ名前で、チボーがミアのことを呼ぶ。
 その服の右袖は、肘と手首の中間辺りで、だらりと垂れ下がっている。

「くそ……!」

 起き上がろうとする俺の胸を、素早く近付いたチボーが、右足で踏みつける。肋骨が悲鳴をあげた。罅くらいは入っただろう。

「脆いですね……一般人というのは、こんなにも華奢でしたか」
 まるで、俺の屈辱を煽ろうとするかのように、チボーが言う。

「さあ、あなたの負けです。“花嫁”の場所に案内してくれませんか?」
「ぐ……っ」
「“花嫁”が、他の吸血鬼どもの手に落ちれば……恐ろしいことが起こるのです。その前に、どうしても始末をつけなくてはならないのですよ」

 右足に、徐々に体重をかけながら、チボーが穏やかな声で言う。
 まるで聞き分けのない子供を諭すような口調だ。
 しかし、そのチボーの体重によって、俺の胸郭は、みしみしと音を立てるようにきしんでいる。

「……」
 俺は――タイミングを計り、そして、一気に仕掛けた。

「!」
 左手に渾身の力を込め、異様に重いチボーの右足をかすかに浮かし、右手でそれを横から叩こうとする。

 チボーの左足首の関節を破壊することを目的とした攻撃だ。
 それに、半ば本能的に、チボーは反応した。

 がッ! という衝撃が、顎から脳天に突き抜ける。
 チボーが、俺の左手を振り払い様に、右足で俺の顎を蹴り飛ばしたのだ。意識を弾き飛ばすには、充分な一撃。

「しまった――」
 そんな、チボーの呟きが、聞こえたような気がした。
 そして、俺は、完全に意識を失った。

*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*

 もうもうと湯気の立ち込める浴室。
 明るい色調のタイルや、つややかな人工大理石のバスタブも、しかし、綺羅の心を慰めることは無い。

 意識を回復すると、あの姉弟はどこかに消え、そして、手枷は外れていた。そして、澱のように体にまとわりつく、甘たるい性交の余韻を拭おうと、ほとんど本能的に風呂に入ったのだった。

 その、あまりにも日常的な場面において――綺羅は、自分が確かに吸血鬼であるということを、嫌と言うほど思い知らされたのである。

「……」
 たっぷりと張られた温かな湯から出て、綺羅は、小さく溜息をついた。
 そして、壁に吊るされたシャワーヘッドを見つめる。

 湯船に入るだけならば、どうということはない。
 しかし、シャワーから流れ出る温水に我が身を晒すことを想像しただけで、嘔吐しかねないほどの不快感が体内をせり上がる。
 ほんのかすかな水の流れでも、自らの体がそれに押し流され、この世から消えてしまいそうに思えるのだ。

 排水孔に湯が流れ込むのを見るだけでも、目眩がした。
 高めの温度に設定したシャワーに打たれること、ガーリックの利いた食べ物を口にすること、縁側で日向ぼっこをすること……かつて大好きだったそれらのことを思うだけで、今はおぞ気が走る。
 自分は、もはや、忌まわしい生ける死者なのだ。

「……生きてるって……どんなだったっけかな……?」

 人としての生きることをやめ、仮そめながら永遠の命を得た瞬間に、存在の意義を問う。
 そんな自分が、どこか滑稽で、綺羅は、我知らずくすりと失笑した。

- つづく -


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